保険・FP

医師の保険の選び方【不要な保険と必要な保険】

現役医師が執筆 | 2026年4月更新 | 読了時間:約10分

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「先生、医師専用プランなので特別に加入いただけます」——医師なら誰しも一度は保険営業を受けた経験があるでしょう。医師は保険業界にとって最優良顧客であり、過剰な保険に加入させられているケースが多発しています。

本記事では、現役医師の視点から「本当に必要な保険」と「医師には不要な保険」を徹底的に仕分けし、無駄な保険料で資産形成の足を引っ張らないための判断基準を解説します。

📋 目次

  1. 医師の保険選びの大原則
  2. 医師に不要な保険
  3. 医師に必要な保険
  4. 年代・ライフステージ別の考え方
  5. 営業トークに騙されない判断基準
  6. まとめ

1. 医師の保険選びの大原則

保険選びで最も重要なのは、「保険は確率の低い重大リスクだけに備える手段」という原則です。確率が高いリスク・金銭的に自己解決できるリスクに保険を使うのは、コストパフォーマンスが悪すぎます。

💡 保険加入の判断基準

✅ 起きたら経済的に破綻するリスク → 保険で備える

✅ 貯蓄では対応できない大きな損失 → 保険で備える

❌ 起きても貯蓄で対応できるリスク → 保険不要

❌ 発生確率が低く損失も限定的 → 保険不要

高収入の医師は、貯蓄で対応できる範囲が一般よりも広いため、本来必要な保険の範囲はむしろ狭くなるのが論理的です。しかし実際には逆に多くの保険に加入しているケースが大半です。

2. 医師に不要な保険

❌ 不要①:医療保険

日本には 高額療養費制度 があり、医師の年収帯(標準報酬月額83万円以上)でも月額自己負担上限は約26万円+α。数ヶ月の入院でも100万円程度の貯蓄があれば対応可能です。

医師は高収入・貯蓄力も高いため、医療保険の必要性は極めて低いと言えます。月数千円の保険料を30年支払うと、総額100万円以上。これを投資に回した方がはるかに効果的。

❌ 不要②:がん保険

がん治療も高額療養費制度の対象。先進医療は月数千円の特約(医療保険付帯)でカバー可能。単独のがん保険は基本的に不要です。

医師は早期発見できる環境にあるため、そもそも治療費が巨額化するリスクも低いです。

❌ 不要③:貯蓄型生命保険・終身保険

「保障と貯蓄が両立できます」は典型的な営業トーク。実態は手数料が高く、運用利回りが低い金融商品。同じ金額をNISA・iDeCoに回した方が遥かに効率的です。

貯蓄と保障は分けて考えるのが鉄則:保障は掛け捨て、貯蓄は投資信託。

❌ 不要④:個人年金保険

節税効果は年間4万円の所得控除程度。iDeCoの方が節税効果が桁違いに大きいです。年金対策はまずiDeCoの上限まで使うのが先決。

❌ 不要⑤:学資保険

現代の低金利環境では運用利回りがほぼゼロ。インフレに負けるだけです。子どもの教育費はNISAで全世界株式に積立投資する方が合理的です。

❌ 不要⑥:医師年金(任意加入部分)

医師会が運営する年金商品は、手数料・運用利回りが市販のインデックスファンドに劣ることが多いです。医師会の基本的な福利厚生を超える任意拠出部分は慎重に判断すべきです。

3. 医師に必要な保険

◯ 必要①:掛け捨て生命保険(扶養家族がいる場合)

小さい子ども・専業主婦(夫)の配偶者がいる間は必要。自分が亡くなった時に遺族の生活を守るため。

保険金額の目安:遺族年金+配偶者の収入を差し引いた不足額 × 子どもが独立するまでの年数

商品選び収入保障保険(定期保険の一種)が最もコスパが良い。月々数千円で数千万円の保障が可能。

◯ 必要②:医師賠償責任保険

医療訴訟・損害賠償に備える、医師に最も重要な保険。勤務医も個人加入を強く推奨。勤務先病院の保険ではカバーされないケースもあります。

日本医師会・保険会社の各種プランあり。年間数万円の保険料で数千万〜億単位の賠償リスクに備えられます。

◯ 必要③:自動車保険(対人・対物無制限)

運転する限り必須。対人・対物ともに無制限を選択。車両保険は貯蓄で対応できるなら任意。

◯ 必要④:火災保険(持ち家の場合)

持ち家なら必須。地震保険も日本在住なら加入推奨。賃貸なら家財保険のみで十分。

◯ 必要⑤:所得補償保険(開業医・フリーランス医師)

自営業の医師は病気・怪我で働けなくなった時の収入減を補う保険が有用。勤務医は傷病手当金があるため優先度は下がります。

4. 年代・ライフステージ別の考え方

ライフステージ必要な保険不要な保険
独身・20代医師医師賠償・自動車生命保険・医療保険全般
既婚・子なし医師賠償・自動車・火災死亡保障は最小限
子育て世代+収入保障保険(扶養継続中)貯蓄型保険・学資保険
子ども独立後医師賠償・自動車・火災のみ生命保険は解約検討
開業医+所得補償・事業用火災過剰な貯蓄型保険

5. 営業トークに騙されない判断基準

⚠️ 注意すべき営業フレーズ

・「先生だけの特別プラン」→ 特別ではない、全医師に同じ営業

・「節税になります」→ 節税効果は微々たるもの。iDeCoに勝てない

・「将来戻ってきます」→ 手数料で目減り。投資の方が効率的

・「病院経由なので安心」→ 病院は紹介手数料を得ているだけ

・「今加入しないと上がります」→ 焦らせる典型的営業

保険営業を受けたら、即決せず必ず以下を実行してください:

Dr. Kの実体験

「そういうものだから」で入り続けた保険の末路

振り返ると、私の保険歴は「流されるまま」の一言に尽きます。社会人になった時、親に「医療保険は成人したら入るものだ」と言われて何も考えずに加入。家族を持った時には「終身保険は家庭を持ったら入るものだ」と勧められるまま契約しました。

そのまま忙しい毎日が始まります。仕事に追われ、家庭を支え、とにかく目の前のことに突っ走る日々。保険の見直し? そんな余裕はありません。毎月の引き落としを「まあ、そういうものだから」と思考停止で受け入れ続けていました。

転機はコロナ禍でした。同僚がコロナに罹患した時、「入院扱いにならなかったから保険金が出なかった」という話を聞いたのです。自分の保険を確認してみると、条件次第では同じ状況に——。毎月保険料を払い続けて、いざという時に役に立たない。保険の意味あるの?と初めて真剣に疑問を持ちました。

そこから一つずつ保険証券を引っ張り出し、冷静に棚卸しを始めました。調べれば調べるほど、不要な保険に長年お金を払い続けていたことが分かりました。今は少しずつ足枷を減らしている最中です。削減した保険料はNISAの積立に回しています。

※ 保険の見直しについて詳しくは 医師の生命保険・医療保険の選び方 にまとめています。

💡 Dr. Kの教訓:「そういうものだから」で入った保険は、だいたい不要です。忙しいのは分かりますが、年に1回でいいので保険証券を全部並べて「これは本当に必要か?」と自分に問いかけてみてください。きっと、年間数万円〜数十万円の「取り戻せるお金」が見つかるはずです。

6. まとめ

🎯 医師の保険の黄金ルール

1. 「保険は確率の低い重大リスクだけ」の原則を守る

2. 医療保険・がん保険・貯蓄型保険は基本不要

3. 必要なのは医師賠償・掛け捨て生命保険(扶養あり)・自動車・火災

4. 貯蓄と保障は分離:保障は掛け捨て、貯蓄はNISA・iDeCo

5. 営業には即決せず、必ず複数の情報源で判断

保険料の見直しだけで、年間数十万円の支出削減が可能なケースは珍しくありません。削減分を投資に回せば、生涯で数千万円の差になります。

今日、ご自身の保険証券を引っ張り出して、一度冷静に棚卸ししてみてください。

次に読むべき記事

保険料を削減できたら、その分を資産運用に回しましょう。

NISA・iDeCo完全ガイドを読む →

📌 免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の保険商品を推奨・否定するものではありません。保険の加入・解約は、ご自身の状況に応じて慎重に判断してください。必要に応じて独立系FP等の専門家にご相談ください。

Dr. K
AUTHOR Dr. K 現役医師
医師歴10年以上 資産運用歴7年 NISA・iDeCo・米国株・不動産投資 経験

現役勤務医として日々診療にあたりながら、医師・医療従事者向けの資産運用・節税・投資情報を発信しています。「医学の視点 × 投資の実体験」という独自の切り口で、机上論ではない実践的なお金の知識をお届けします。

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