📰 Dr. K's MORNING BRIEF
2026年9月24日(木)

その分け方で、いいのか。
好酸球で選ばずに、3割減った。

現役医師 Dr. K が厳選した、健康・医療・金融の今朝のヘッドライン。

おはようございます。連休明け、木曜日の朝のレポートをお届けします。

今日の隠れたテーマは 「その分け方で、いいのか」今日の主題は、COPDの新薬の試験です。これまでのCOPDの生物学的製剤は「血中の好酸球が多い人」に絞って使われてきました。この試験は、好酸球数で患者を選びませんでした。それでも増悪は約3割減っています。そして連休前の9月18日、日銀が31年ぶりの水準まで利上げしたのに、円は安くなりました。日経平均は882円高、けれどTOPIXは下落。いつもの分け方が、うまく効かない場面が続いています。健康・研究・お金の3ジャンルで整理します。

🩺 健康・医療ニュース

1.【前週比+68.3%】インフル第37週、全国5.54 — 沖縄は16.61で注意報レベル超え

連休前の9月18日、厚生労働省が第37週(9/7〜13)の全国集計を公表しました。

項目第37週第36週
全国の定点当たり報告数5.543.29
報告数20,697人12,299人
前週比+68.3%
昨年同期との比較7.6倍(約6.6倍)

都道府県別(定点当たり)

都道府県報告数
沖縄16.61注意報レベル(10人)を超えた
茨城9.85
東京9.53
神奈川9.45
埼玉9.10

2.【コロナも増えている】第37週は2.37 — 連休明けに備えておきたいこと

同じ9月18日に公表された新型コロナの第37週は、全国の定点当たり 2.37(前週1.71)でした。インフルエンザとコロナが、同時に増えています。

感染症第36週第37週
インフルエンザ3.295.54
新型コロナ1.712.37

連休明けに確認しておきたいこと

項目状況
インフルエンザワクチン医療機関への着荷は10月ごろの見込み(9/10号)。来週にはその答え合わせができます
第38週の公表明日9月25日(金)
休日・夜間の相談先子どもは #8000/大人は #7119(実施している地域のみ)

📚 注目論文・エビデンス

1.【今日の主題】好酸球で患者を選ばずに、COPDの増悪が約3割減った — トゾラキマブ

吸入の標準治療を続けていても増悪を繰り返すCOPDの患者さんに、IL-33を阻害する抗体 トゾラキマブ を上乗せした、同じ設計の第3相試験2本の結果です(OBERON・TITANIA/NEJM 2026年9月8日オンライン版)。

ここが要点です:COPDに対する既存の生物学的製剤は、血中の好酸球が多い患者さんに絞って効果が示されてきました。この試験には、好酸球数による参加条件がありません。

研究の設計内容
対象前年に増悪歴のあるCOPD(現喫煙者・元喫煙者の両方)。好酸球数の基準なし
人数OBERON 446人 vs 431人/TITANIA 438人 vs 435人
介入トゾラキマブ 300mg を4週ごとに皮下注、52週間(標準の吸入維持療法に上乗せ)
主要評価項目元喫煙者における中等度・重度の増悪の年間発生率
主な副次評価全体集団での同じ指標

結果(中等度・重度の増悪、年あたりの回数)

トゾラキマブプラセボ率比
元喫煙者(OBERON)1.341.900.71(95%CI 0.57〜0.88、P=0.002)
元喫煙者(TITANIA)1.372.070.66(95%CI 0.55〜0.80、P<0.001)
全体集団(OBERON)1.412.000.70(95%CI 0.58〜0.85、P<0.001)
全体集団(TITANIA)1.442.030.71(95%CI 0.59〜0.84、P<0.001)
有害事象トゾラキマブプラセボ
OBERON70.4%77.2%
TITANIA80.1%79.8%

2. 「閉塞していない」肥大型心筋症にも効いた — ただし効果の大きさは控えめ

肥大型心筋症(HCM)のうち、左室からの出口が狭くなっていない「非閉塞性」の患者さんに、心筋ミオシン阻害薬アフィカムテンを使った第3相試験です(ACACIA-HCM/NEJM 2026年8月28日オンライン版)。

背景:この種の薬は「閉塞性」の患者さんで効果が示されてきました。非閉塞性には、確立した薬物療法がありません。

研究の設計内容
対象症状のある非閉塞性HCM 517人(アフィカムテン 258人 vs プラセボ 259人)
背景平均 55.1歳、女性 53.6%
介入アフィカムテン(開始5mg、最大20mg)を最長72週
二重の主要評価項目36週時点の ①最高酸素摂取量KCCQ-CSS(生活の質、0〜100点)

結果

評価項目アフィカムテンプラセボ
KCCQ-CSS の変化+11.4点+8.4点3.0点(95%CI 0.5〜5.5、P=0.02)
最高酸素摂取量の変化+0.64−0.030.67 mL/kg/分(95%CI 0.22〜1.11、P=0.003)
安全性アフィカムテンプラセボ
左室駆出率が50%未満に低下(可逆的)27人(10.5%)2人(0.8%)
重篤な有害事象52人(20.2%)38人(14.7%)

💰 金融・税制ニュース

1.【連休前】日銀が31年ぶりの水準へ利上げ — なのに円は安くなった

9月18日、日銀が政策金利を1.25%程度へ引き上げました。

項目内容
政策金利1.25%程度(0.25%の引き上げ)
決定賛成7・反対2
水準1995年以来、およそ31年ぶりの高さ
間隔6月会合以来 3か月ぶり(利上げのペースを速めた)
植田総裁の発言2%の物価目標のため「引き続き政策金利を引き上げる」。連続利上げや利上げ幅の拡大も、物価の上振れリスク次第で「排除しない」

同じ日の朝に出た、8月の全国CPI

指標結果前月
コア(生鮮食品を除く)+1.7%+1.8%(市場予想も+1.8%)
新コアコア(生鮮・エネルギーを除く)+1.9%+1.9%
指標数値
日経平均 終値65,018.95円(前日比 +882.70円、+1.38%)— 3日続伸、9月10日以来の6万5,000円台回復
日中一時1,300円超高。連休前の利益確定で上げ幅を縮めた
TOPIX4,091.14−3.05)— 反落
ドル円(18日16時)156円90銭 → その後 一時158円台

2. 連休中の海外 — ダウは下げ、ナスダックは最高値、円は158円台へ

東京が休んでいた3日間も、海外の市場は動いていました。

9月22日のニューヨーク数値
NYダウ51,863.69ドル−185.14ドル)— 長期金利の上昇を嫌気
ナスダック総合27,244.28+122.19)— 連日の最高値更新
ドル円(9月23日のNY)157円76銭 → 158円40銭まで上昇
Dr. K のひと言(木曜・"分け方"の話)

私たちは、いつも何かで分けています。好酸球が多いか少ないか。閉塞性か非閉塞性か。喫煙中か、やめたか。

分けること自体は悪くありません。効く人に効く薬を届けるための工夫です。ただ、その分け方が本当に正しいかは、別の問題です。

今日の主題の試験は、好酸球で患者を選びませんでした。これまで「効きそうな人を見分ける目印」とされてきた線を引かずに、増悪は約3割減りました。1.90回が1.34回へ。

もう1本は、「閉塞していないタイプ」の肥大型心筋症に効果を示しました。これまで薬がなかった領域です。ただし生活の質の差は3.0点。左室駆出率が50%を切った人が10.5%。——分け方を越えて届いたけれど、届き方は控えめでした。正直に、両方を書いておきたいと思います。

お金のほうも、分け方が効かない週でした。日銀は31年ぶりの水準まで金利を上げました。普通なら円高に振れるはずです。でも円は158円台まで安くなりました。反対票が2つあったこと、日米の金利差がまだ大きいこと——理由はいくつもあります。

日経平均は882円高で、TOPIXは下落。連休中のニューヨークも、ダウは下げてナスダックは最高値。「株は上がったのか、下がったのか」に、一言で答えられない日が続いています。

インフルエンザの数字も同じです。全国平均は5.54。でも沖縄は16.61で、すでに注意報レベルを超えています。全国という分け方では、沖縄の今は見えません。

分けるのをやめる必要はありません。ただ、「その分け方で合っているか」を、ときどき問い直す。今日の2本の論文は、それをやって成果が出た例だと思います。

連休明けの初日です。外来は混むかもしれません。ご自愛ください。木曜日、今日も良い一日を🩺💰

📌 免責事項:本Morning Briefは情報提供を目的とした要約記事であり、医学的・投資的判断を行うものではありません。引用元の一次情報を必ずご確認ください。診療判断・投資判断は各専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。