おはようございます。月曜日の朝のレポートをお届けします。
今日の隠れたテーマは 「答えは、もう書かれている」。まず訂正からです。9/25号で「今日14時に第38週が公表されます」とお伝えしましたが、これは誤りでした。正しくは明日9月29日(火)です。しかもその予定日は、私が出典に挙げたPDFの1ページ目に書いてありました。今日の主題も同じ構図です。腸内細菌を入れ替えれば過敏性腸症候群は良くなるはず——その期待に対して、出た数字は「差1.9ポイント、p=0.76」でした。逆に、同じ週の同じ雑誌で効いた試験も出ています。健康・研究・お金の3ジャンルで整理します。
🩺 健康・医療ニュース
1.【訂正】第38週の公表は明日9月29日(火)でした — 9/25号の記述を訂正します
9/25号で「今日9月25日(金)の14時、厚生労働省から第38週の全国集計が公表されます」とお伝えしましたが、誤りでした。正しくは9月29日(火)公表予定です。9/24号の「明日9月25日(金)公表の第38週」も同じ誤りです。
| 項目 | 内容 |
| 9/25号の記述 | 「今日9月25日(金)の14時に公表」 |
| 正しい公表日 | 2026年9月29日(火) |
| ずれた理由 | 5連休(9/19〜23)で、通常の金曜からずれた |
| どこに書いてあったか | 9/18公表のPDF(第37週分)の1ページ目 |
実際の記載(9/18のPDFより):
令和8年第38週(令和8年9月14日から令和8年9月20日まで)分については、令和8年9月29日(火)公表予定です。
- 「毎週金曜14時」という思い込みで、出典に挙げたPDFの1ページ目を読まずに書きました。言い訳のしようがありません。
- 厚労省の発生状況は原則として毎週金曜14時ですが、連休があるとずれます。次回の公表日は、毎回そのPDFの1ページ目に明記されています。
- 全国集計を待たなくても、都道府県は独自に出しています。埼玉県はすでに第38週を公表済みです。
| 埼玉県 | 第36週 | 第37週 | 第38週(9/14〜20) |
| 定点当たり報告数 | 4.57 | 9.10 | 13.56(2,333人) |
| 状況 | — | — | 注意報レベル基準値10を突破 |
- 埼玉は3週で 4.57 → 9.10 → 13.56。全国集計が出るまでの先行指標として使えます(ただし「全国」と混ぜないこと)。
- 東京都(原則木曜更新)・沖縄県(原則金曜11時更新)・茨城県は、9月27日時点でまだ第37週までです。
- 一般の方へ:金曜に「今日の午後に新しい数字が出ます」とお伝えしましたが、出ていませんでした。申し訳ありません。
- 新しい全国の数字は、明日9月29日(火)に出ます。
- すでに出ている埼玉県の数字は、2週間で9.10から13.56へ増えています。流行は止まっていません。
2. 全国平均を待たなくても、もう見えている — 保健所別では26.00という数字が出ています
全国集計は明日ですが、都道府県の週報を見ると、すでにかなりの数字が出ています。茨城県ではつくば保健所管内が26.00でした。
茨城県 第37週(9/7〜13)の保健所別:
| 保健所 | 定点当たり報告数 |
| つくば | 26.00 |
| 水戸市 | 14.43 |
| 土浦 | 11.33 |
| (茨城県全体) | 9.85(前週 5.68) |
茨城県の週報には「インフルエンザによる学級閉鎖が県内各地域で多く報告されています」と記載されています。
第37週の全国と主要県(9/18公表の確定値):
| 地域 | 第36週 | 第37週 |
| 全国 | 3.29 | 5.54(20,697人) |
| 沖縄 | 10.34 | 16.61 |
| 茨城 | 5.68 | 9.85 |
| 東京 | 5.46 | 9.53 |
| 神奈川 | 5.87 | 9.45 |
| 埼玉 | 4.57 | 9.10 |
| 千葉 | 5.49 | 8.63 |
| 昨年同期(全国) | 0.50 | 0.72 |
- 全国5.54という数字は、実務の役に立ちません。
- 同じ第37週で、全国は5.54、茨城県全体は9.85、つくば保健所管内は26.00です。診療で意味があるのは、いちばん右の数字です。
- 自院の管轄保健所の数字は、都道府県の週報で確認できます。全国集計より細かく、多くの県では厚労省より早く出ます。
- 学級閉鎖は地方にも広がっています。秋田県では9月24日までの1週間で、新たに3つの小学校が学級閉鎖・学年閉鎖になりました(NHK)。全国の流行入りは第34週(8/17〜23)で、9月に入って学級閉鎖が出始めた流れです。
- 昨年同期は0.72でした。今年は5.54。7.6倍です。去年の9月の感覚は、今年は使えません。
- 一般の方へ:「全国で5.54人」と聞いてもピンとこないと思います。
- 同じ週に、つくば市のあたりでは1医療機関あたり26.00人が報告されています。住んでいる地域によって、まったく違うということです。
- お住まいの都道府県の「感染症情報センター」のページに、地域別の数字が出ています。全国平均より、そちらのほうが役に立ちます。
📚 注目論文・エビデンス
1.【今日の主題】腸内細菌を入れ替えても、差は1.9ポイントだった — REFIT2
過敏性腸症候群(IBS)に対する便微生物移植(FMT)は、効果を示しませんでした。健康なドナーの便を移植した群と、自分自身の便を「プラセボ」として使った群で、症状が改善した人の割合は40%対38%でした。Lancetに9月24日オンライン掲載。
| 項目 | 内容 |
| 試験名 | REFIT2(NCT04691544) |
| デザイン | 無作為化・二重盲検・プラセボ対照・第3相 |
| 実施施設 | ノルウェーの5病院 |
| 登録期間 | 2021年5月5日〜2022年7月14日 |
| 対象 | 18〜65歳、中等症〜重症のIBS(Rome IV基準、IBS-SSS 175点以上) |
| 除外の工夫 | 50歳以上は5年以内の大腸内視鏡で大腸がんを除外、下痢型は生検で顕微鏡的大腸炎を除外 |
| 症例数 | 2,304人を評価し 450人を無作為化(2:1)、解析は448人 |
| 背景 | 女性293人(65%)、年齢中央値 36歳(IQR 29〜44) |
| 投与法 | 1回のみの経腸投与(注腸) |
| 資金 | KLINBEFORSK(公的資金) |
介入と結果:
| ドナーの便を移植 | プラセボ(自分自身の便) |
| 例数 | 299人 | 151人 |
| 90日後にIBS-SSSが75点以上改善 | 119人(40%) | 57人(38%) |
| 絶対差 | 1.9ポイント(95%CI −8.1〜12.0) | — |
| p値 | 0.76 | — |
| 有害事象の割合 | 両群で同様 | — |
- この試験の設計のうまさは、プラセボに「自分自身の便」を使ったところです。
- 見た目も手技も同じなので、患者も医療者も、どちらを入れられたか分かりません。盲検が成立します。だからこそ38%という「プラセボ群の改善率」の意味が読めます。
- プラセボ群でも38%が75点以上改善しています。IBSは何もしなくても4割近くが良くなる病気だということです。単群の観察研究で「FMTで4割改善」と報告されたら効いたように見えます。対照を置くまで分からない典型例です。
- 絶対差1.9ポイント、95%信頼区間は−8.1〜12.0でゼロをまたぎ、p=0.76。差がないことが、はっきりしました。
- 著者の結論は「微生物を変えるだけでは、IBSの症状改善には不十分かもしれない」です。腸内細菌がIBSに関与するという仮説そのものの否定ではなく、「入れ替えれば治る」という単純な筋道の否定と読むべきです。
- 限界:1回のみの注腸という投与法です。複数回投与や経口カプセルでの結果は、この試験からは言えません。ノルウェーの5施設で、対象は中等症〜重症・年齢中央値36歳に限られます。
- 一般の方へ:「腸内環境を整えれば、お腹の調子が良くなる」——よく聞く話です。
- それをいちばん強い形で試した研究です。健康な人の腸内細菌をそのまま移植しても、自分の便を入れた人との差はほとんどありませんでした。
- もう一つ大事なことがあります。自分の便を入れた人でも、38%が大きく改善しています。お腹の症状は、何もしなくても良くなることがあるのです。だから「これで治った」という体験談だけでは、効いたかどうかは分かりません。
2. 同じ週に、効いた試験も出ています — ただし157人で、ぎりぎりでした(ROAM/EORTC-1308)
WHOグレード2の非典型髄膜腫を完全切除したあとに放射線を追加すると、5年無病生存が64.3%から79.9%に改善しました。Lancetに9月25日オンライン掲載。
| 項目 | 内容 |
| 試験名 | ROAM/EORTC-1308(ISRCTN71502099、終了済み) |
| デザイン | 国際・多施設・非盲検・第3相・無作為化比較 |
| 実施施設 | 11か国58施設 |
| 登録期間 | 2016年4月28日〜2021年5月21日 |
| 対象 | 16歳以上、新規診断の非典型髄膜腫で術者が完全切除と判断した患者 |
| 症例数 | 990人を評価し 157人を無作為化(1:1) |
| 背景 | 年齢中央値 57.40歳(IQR 49.09〜66.93)、女性84人(54%) |
| 照射 | 60 Gy/30分割/6週間(強度変調放射線治療) |
| 追跡 | 中央値 64か月(最低4年) |
結果:
| 放射線 | 経過観察 |
| 例数 | 78人 | 79人 |
| 再発 | 11人(14%) | 24人(30%) |
| 5年無病生存 | 79.9%(95%CI 67.6〜87.9) | 64.3%(51.9〜74.2) |
| 絶対差 | 15.6ポイント(95%CI 0.6〜30.5) | — |
| ハザード比 | 0.51(95%CI 0.27〜0.97)/p=0.0396 | — |
| Grade 2〜3の放射線関連重篤有害事象 | 5/66人(8%)、治療関連死なし | — |
- ハザード比0.51と聞くと大きく見えますが、数字をそのまま読む必要があります。
- 信頼区間の上限は0.97、p=0.0396。絶対差の信頼区間の下限は0.6ポイントです。どちらも、ぎりぎり有意の側に入っているだけです。
- 症例数は157人。990人を評価して157人ですから、集積に9年近くかかった希少疾患の試験です。この規模で得られた結果としては貴重ですが、効果の大きさの推定はまだ幅があります。
- 著者の結論も慎重です。「再発予防を、放射線の遅発性有害事象より重視する場合に検討すべき」——つまり全員に勧める書き方をしていません。患者ごとの相談が前提です。
- 限界:非盲検です(主要評価はMRIで確認された再発なので、影響は限定的と考えられます)。「完全切除」は術者の判断によります。追跡中央値64か月では、放射線の遅発性有害事象はまだ出きっていません。公的資金の試験です。
- 今日の主題との対比が効きます。同じ週の同じ雑誌に、p=0.76で差がなかった試験と、p=0.0396でぎりぎり差が出た試験が並びました。どちらも、数字はもう書かれています。
- 一般の方へ:脳を包む膜からできる腫瘍(髄膜腫)のうち、再発しやすいタイプの話です。
- 手術で取りきれたあとに放射線を足すと、5年間で再発しなかった人が64%から80%に増えました。
- ただし157人という小さな研究で、統計的にはぎりぎりです。放射線には後から出てくる副作用もあります。「全員が受けるべき」という結論ではありません。
💰 金融・税制ニュース(今週の見立て)
1.【先週の振り返り】取引は2日だけ、そこで1,345円上げた — 金利上昇が、重荷から追い風に変わった
先週は5連休があったため、東証の取引は9/24(木)と9/25(金)の2日だけでした。その2日で日経平均は1,345円25銭(+2.07%)上げ、5営業日連続の上昇になりました。
| 日付 | 日経平均 | 前日比 | TOPIX | 前日比 |
| 9/18(金) | 65,018.95円 | +882.70円 | 4,091.14 | −3.05 |
| 9/24(木) | 65,513.99円 | +495.04円 | 4,075.30 | −15.84 |
| 9/25(金) | 66,364.20円 | +850.21円(+1.30%) | 4,128.59 | +53.29(+1.31%) |
| 9/18→9/25 | — | +1,345.25円(+2.07%) | — | +37.45(+0.92%) |
9/25(金)の中身:
| 項目 | 内容 |
| 東証プライム | 値上がり 1,113/値下がり 382/変わらず 53 |
| 33業種 | 31業種が上昇。上昇率トップは銀行 |
| 買われたもの | AI・半導体関連、金利上昇の恩恵を受ける銀行など金融、9月末の配当狙いの買い |
先週の金利 — 日米そろって節目を超えました:
| 項目 | 水準 | いつ以来か |
| 日本の長期金利(新発10年債) | 9/24に一時 3.075% | 1996年8月以来・30年1か月ぶり |
| 米10年債利回り | 9/24に 5.20% | 2007年以来・約19年ぶり |
| 米30年債利回り | — | 2004年以来の高さ |
ニューヨーク(9/25終値)と為替:
| 指標 | 終値 | 前日比 |
| NYダウ | 51,828.62ドル | +478.64ドル(4日ぶり反発) |
| ナスダック総合 | 27,068.72 | +129.35 |
| S&P500 | 7,743.41 | +39.28 |
| ドル円(9/25東京) | 158円を割り込み 157円94銭まで下落、17時時点は158円10〜20銭 | — |
- 同じ「金利上昇」が、2日で意味を変えました。9/24は日経が495円上げたのにTOPIXは下落——買われたのはAI・半導体だけでした。9/25は33業種のうち31業種が上がり、上昇率トップは銀行です。金利上昇が重荷から追い風に読み替えられたのが、この2日間の中身です。
- 9/25号でお伝えした「長期金利3.075%・30年1か月ぶり」に、米国側の数字も足しておきます。米10年債は5.20%で2007年以来、米30年債は2004年以来の高さです。日本だけの話ではありません。
- 住宅ローンの固定金利を検討中の方は、先週の水準を一度確認してください。日米そろって長期金利が上がった週でした。
- つみたて中心の方は、こういう週も何もしないのが基本です。
- ※相場は日々変動します。本レポートは今後の値動きを断定するものではありません。
- 一般の方へ:先週は株が上がり、金利も上がりました。
- 金利が上がると、銀行はもうかりやすくなります。だから銀行の株が買われました。一方で、お金を借りている側の負担は増えます。
- 住宅ローンを固定で組もうとしている方には、逆風の週でした。
2.【今週の見立て】日程は、もう決まっている — 火曜に第38週、木曜に短観、金曜に米雇用統計
今週(9/28〜10/2)は数字が出る日が最初から決まっています。水曜が上期末、木曜に日銀短観、金曜に米雇用統計という並びです。
| 日付 | 予定 |
| 9/28(月) | 日銀 7月会合の議事要旨、企業向けサービス価格指数(8月) |
| 9/29(火) | 🩺 インフル第38週の公表、月例経済報告(9月)、米・消費者信頼感指数、米・JOLT求人件数 |
| 9/30(水) | 上期末、鉱工業生産(8月)、米・ADP雇用統計、米・PCEコア価格指数(8月) |
| 10/1(木) | 日銀短観(7〜9月期)、米・ISM製造業景況指数 |
| 10/2(金) | 米・9月雇用統計、日・8月失業率、欧・9月HICP(消費者物価指数・速報) |
- 今週いちばん相場を動かしうるのは、金曜10/2の米雇用統計です。米10年債が5.20%まで来ている状況で雇用が強ければ、追加利上げ観測がさらに強まり、円安圧力が続きます。日本経済新聞は今週について「ドル高圧力が残り、円は160円を探る展開も」としています。
- 水曜10/1発表の日銀短観は、9月18日の利上げ後に企業がどう見ているかを示す最初のまとまった材料です。ここが強ければ、次の利上げが意識されます。
- 火曜9/29はインフル第38週。見るべきは連休の谷ではなく、第37週の5.54から伸びが続いているかです(第38週と連休の重なりは9/19・20の土日2日だけ)。連休の平日3日(9/21〜23)の影響が出るのは第39週で、その公表日は明日のPDFの1ページ目に書かれます。
- 9/30が上期末です。配当狙いの買いは先週すでに入っていました。期末をまたぐ動きに振られないでください。
- ※相場は日々変動します。本レポートは今後の値動きを断定するものではありません。
- 一般の方へ:今週は「いつ、何が出るか」がもう決まっています。
- 円相場に影響しそうなのは金曜の米国の雇用統計です。円安が進むと、輸入品の値段に効いてきます。
- インフルエンザの新しい全国の数字は、明日火曜に出ます。
📌 免責事項:本Morning Briefは情報提供を目的とした要約記事であり、医学的・投資的判断を行うものではありません。引用元の一次情報を必ずご確認ください。診療判断・投資判断は各専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。
まず、訂正からです。
金曜の号で「今日14時に第38週が公表されます」と書きました。出ませんでした。正しくは明日9月29日(火)です。
情けないのは、ここからです。その予定日は、私がその号の出典に挙げたPDFの、1ページ目に書いてありました。「第38週分については、9月29日(火)公表予定です」と、そのまま。私は「毎週金曜14時」という思い込みのまま、読まずに書いていました。
数字は一次情報で確かめる、と毎回書いている人間が、同じ紙の1ページ目を読んでいなかったわけです。申し訳ありません。
今日の主題も、構図は同じでした。「腸内細菌を入れ替えれば、お腹の調子は良くなるはず」——筋は通りますし、期待もあります。その期待に対して出てきた数字が、40%対38%。差は1.9ポイント、p=0.76でした。
この試験がうまいのは、プラセボに「自分自身の便」を使ったところです。だから「何もしていない側でも38%が大きく改善した」という事実が読めます。IBSは、放っておいても4割近くが良くなる。ここを知らずに単群の結果だけを見れば、「4割に効いた」と誤読します。
もう1本は逆に、効いた試験でした。髄膜腫の術後放射線で、5年無病生存が64.3%から79.9%へ。ハザード比0.51。ただし信頼区間の上限は0.97で、157人。ぎりぎりです。著者自身が「全員に」とは書いていません。
効かなかった試験も、効いた試験も、数字はもう書かれています。読み方を間違えなければ、どちらも正しく受け取れます。間違えるのは、たいてい読む前に結論を持っているときです。私が金曜にやったのは、まさにそれでした。
今週の予定も、もう書かれています。火曜に第38週、水曜に米PCEと上期末、木曜に日銀短観、金曜に米雇用統計。日程表は決まっていて、あとは中身を読むだけです。
月曜日です。先に結論を決めずに、書いてあるものを読む。今週は、そこを自分に言い聞かせながらやります。今週もよろしくお願いします🩺💰