現役医師 Dr. K が厳選した、健康・医療・金融の今朝のヘッドライン。
おはようございます。火曜日の朝のレポートをお届けします。
今日の隠れたテーマは 「心配も期待も、確かめるまで分からない」。今日の主題は、妊娠初期にベンゾジアゼピン系の薬を使うと、赤ちゃんの先天異常が増えるのかを、米国の約420万件の妊娠で調べた研究です。心配されてきたリスクの上昇は、見られませんでした。逆に、リポ蛋白(a)を大きく下げる新薬は、心臓病を減らすと期待されていましたが、届きませんでした。健康・研究・お金の3ジャンルで整理します。
厚生労働省は10月19日、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を改正し、同日から適用しました。これまでの生活習慣病予防などの一次予防に加え、がん、女性特有の健康課題(月経不順、月経困難症、過多月経、月経前症候群、更年期障害など)、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患について、検診や精密検査の受診を勧める「二次予防」を、職場の健康保持増進措置としてはっきり位置づけました。医療保険者との連携や、治療と仕事の両立支援も明記されています。
| 区分 | 改正の内容 |
|---|---|
| 根拠 | 労働安全衛生法70条の2第1項にもとづく指針(健康保持増進のための指針公示第13号) |
| これまで | 生活習慣の改善などによる発症予防(一次予防)が中心 |
| 今回加わったこと | がん、女性特有の健康課題、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患の検診・精密検査の受診勧奨(二次予防) |
| そのほか | 医療保険者等との連携、治療と就業の両立支援 |
| 適用 | 2026年10月19日 |
リポ蛋白(a)[Lp(a)]は、心筋梗塞や脳卒中の独立したリスク因子とされる血液中の物質です。これを大きく下げる注射薬ペラカルセンの第3相試験「Lp(a)HORIZON」について、開発するノバルティスは9月4日、主要評価(心血管死・心筋梗塞・脳卒中・緊急の冠動脈血行再建の複合)を達成できなかったと発表しました。JAMAは10月16日のニュース記事で、この結果の意味を取り上げています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験 | Lp(a)HORIZON(第3相) |
| 対象 | Lp(a)が高く、動脈硬化性の心血管病がある患者 8,323人 |
| 主要評価 | 心血管死、心筋梗塞(非致死)、脳卒中(非致死)、緊急の冠動脈血行再建の複合 |
| 結果 | Lp(a)は大きく下がったが、主要評価は達成できず。安全性は許容範囲 |
| 詳細データ | 今後の学会で発表予定(9月の発表時点) |
不安や不眠に使われるベンゾジアゼピン系の薬を、妊娠初期(第1三半期)に使うと、赤ちゃんの重い先天異常が増えるのかを、米国の2つの大きな保険データベースで調べたコホート研究です。これまでの研究は結果が分かれていました。今回、リスクの上昇は見られませんでした(相対リスク0.99)。薬の種類を変えても、量を増やしても、同じ傾向でした。Annals of Internal Medicineに10月13日掲載。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デザイン | 米国の人口ベースのコホート研究(傾向スコアで交絡を調整) |
| データ | Medicaid(公的保険、2000〜2018年)と MarketScan(民間保険、2003〜2020年) |
| 対象 | 公的保険 2,478,434件、民間保険 1,750,721件の妊娠(合計 約420万件) |
| 曝露 | 第1三半期にベンゾジアゼピンを1回以上処方(公的 2.1%、民間 1.6%) |
| 主要評価 | 重い先天異常(全体と、これまで関連が指摘された臓器別の異常) |
| 臨床的に意味がある目安 | 相対リスク1.3以上(事前に設定) |
| 資金 | 米国立小児保健発達研究所(NICHD) |
結果:
| 使った | 使わなかった | |
|---|---|---|
| 公的保険(調整後の絶対リスク) | 4.0% | 4.1% |
| 民間保険(調整後の絶対リスク) | 4.9% | 4.8% |
| 統合した相対リスク | 0.99(95%CI 0.96〜1.03) | — |
- 臓器別の異常との関連は、感度分析で一貫して見られず、量が増えるほどリスクが上がる関係(用量反応)もありませんでした。
- ほかの向精神薬と一緒に使った場合には、一部の解析で特定の異常のリスクが上がりましたが、一貫した傾向ではなく、さらに調べる必要があるとしています。
成人のフィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病(Ph陽性ALL)で、最初の治療として、分子標的薬ポナチニブと免疫療法薬ブリナツモマブを組み合わせる「化学療法を使わない」治療と、イマチニブと化学療法を組み合わせる従来の治療を比べた、イタリアの第3相試験です。2年の無イベント生存率は86%対67%で、化学療法なしの治療が上回りました。NEJMに10月15日掲載。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デザイン | 第3相・無作為化試験(イタリアGIMEMA、2対1で割り付け) |
| 対象 | 成人のPh陽性ALL 236人(年齢中央値55歳、24〜82歳) |
| 比較 | ポナチニブ+ブリナツモマブ 158人 vs イマチニブ+化学療法 78人 |
| 主要評価 | 無イベント生存 |
| 資金 | イタリア癌研究協会ほか |
結果(追跡期間の中央値23.7か月):
| 評価項目 | 化学療法なし | 従来の治療 |
|---|---|---|
| 2年の無イベント生存率 | 86% | 67%(P<0.001) |
| 寛解導入後の血液学的完全寛解 | 94% | 79% |
| 微小残存病変なしの生存 | 68% | 42% |
| 再発(累積) | 5% | 13% |
| 全生存 | 90% | 85% |
- 化学療法なしの群で、最初の寛解の後に造血幹細胞移植を受けたのは19%でした。
10月19日(月)の日経平均は、407円59銭安の64,916円70銭でした。金曜夜の米国でハイテク株が売られた流れを受け、朝方は下げ幅が一時1,400円を超え、64,000円を割り込みました。ただ、後場は先物主導で下げ渋り、大引け前には65,000円台を一時回復しています。TOPIXは小幅高でした。
| 指標 | 10/19 |
|---|---|
| 日経平均 | 64,916.70円(−407.59円、−0.62%) |
| 日中の安値 | 63,831.78円 |
| TOPIX | 小幅高 |
- 10/19号では、金曜夜の米国の下げを受けて「週明けの東京は、その影響を受けて始まる」とお伝えしました。朝は大きく下げましたが、引けにかけて大半を取り戻しました。
- 日経平均の値下がりへの寄与は、東京エレクトロンとファーストリテイリングの2銘柄で約281円でした(フィスコの集計)。
- 米国(10/19・月曜):取引時間中は、ダウが小幅高、ナスダックが1%を超える上昇で推移していました。終値は今朝の時点で2社で確認できていないため、数字は使いません。
今日(日本時間では今夜〜明日の朝)、米国ではネットフリックス、GM(ゼネラル・モーターズ)、インテュイティブ・サージカルなどの決算発表が予定されています。21時30分には米9月の住宅着工件数も発表されます。国内では20年国債の入札があります。
| 日 | 日本 | 海外 |
|---|---|---|
| 20日(火・今日) | 20年国債入札、9月の首都圏マンション市場動向 | 米9月住宅着工件数(21:30)、ネットフリックス・GM・インテュイティブ・サージカル・3Mなどの決算 |
| 21日(水) | 9月の貿易収支 | 米企業の決算が続く |
| 23日(金) | 9月の全国CPI、🩺 インフル・コロナ第42週 | 米10月PMI速報値 |
妊娠に気づいた患者さんから、「飲んでいた薬は大丈夫でしょうか」と聞かれることがあります。ベンゾジアゼピンは、その心配が特に大きい薬の一つでした。今日の主題の研究は、約420万件の妊娠を調べて、重い先天異常は増えていなかったことを示しました。心配していたことが、確かめてみると起きていなかった例です。
反対の例もあります。リポ蛋白(a)を大きく下げる新薬は、心臓病を減らすと期待されていましたが、届きませんでした。
白血病の試験では、「強い化学療法が要る」と考えられてきた治療で、化学療法を使わない方法のほうが上回りました。
昨日の株価も、朝の「1,400円安」という心配は、引けには407円安まで縮んでいました。
心配も期待も、確かめるまでは分かりません。職場の健診で「要精密検査」と言われたら受診する。今日から変わった国の指針も、つまりは「確かめに行く」ことを後押しするものです。
今日も、確かめてから判断していきましょう。よい一日を🩺💰