過去30年最高の改定率…のはずが、開業医の40%が経営悪化を予想。診療報酬に依存しない「収入の柱」を今すぐ築け。
2026年度(令和8年度)診療報酬改定の本体改定率は+3.09%。過去30年で最高水準のプラス改定です。この数字だけ見れば、医療機関の経営は大幅に改善しそうに見えます。
しかし、現実は違います。
| 指標 | 数字 | 実態 |
|---|---|---|
| 本体改定率 | +3.09% | 過去30年最高だが… |
| 初診料 | 据え置き | クリニックの収入に直結する項目が変わらない |
| 再診料 | +1点(+10円) | 1日50人診ても+500円/日 |
| 開業医の経営予想 | 40.4%が悪化 | 改善予想はわずか9.0% |
| 施行時期 | 2026年6月 | 薬価改定は4月先行 |
+3.09%は「平均値」です。病院とクリニックの配分、診療科ごとの差、賃上げ義務化分を差し引くと、多くのクリニックでは「増収に見えて、実質は横ばい〜減収」になる構造。この数字を鵜呑みにして安心している医師は危険です。
改定率+3.09%の内訳を見れば、「増収」ではなく「コスト増への穴埋め」であることがわかります。
スタッフの人件費に消える。看護師・事務職員の賃上げ目標は年3.2%(看護補助者・事務は5.7%)。ベースアップ評価料として支給されるが、そのまま人件費に回す義務がある。医師の手取りには一切反映されない。
医療材料費・食材費・光熱費の高騰に吸収される。電気代・ガス代・医療機器の維持費…すでに上がったコストの「後追い」であり、経営の余裕にはつながらない。
残りはわずか+0.63%。ここから特定診療科の加算や新規評価が配分される。しかも配分は病院に手厚く、クリニックへの恩恵は限定的。
+3.09%のうち約8割は「賃上げ」と「物価対応」で消えます。医師の収入が3%増えるわけではなく、スタッフの給料と光熱費の穴埋めに使われるだけ。これを「30年ぶりの大幅引き上げ」と報じるメディアの見出しに、騙されてはいけません。
勤務医も開業医も、共通して言えることがあります。診療報酬だけに頼っている限り、2年ごとの改定に振り回され続けるということ。
医師の収入構造には、他の職業にはない致命的な弱点があります。
診療報酬は2年に一度、厚生労働省が決める公定価格です。自分がどれだけ良い医療を提供しても、どれだけ努力しても、報酬は政策で決まる。民間企業なら売上を増やす手段がありますが、医師は「点数」という枠の中でしか稼げない。
| リスク要因 | 医師(診療報酬依存) | 民間企業・個人事業 |
|---|---|---|
| 価格設定 | 政府が決定(公定価格) | 自分で設定可能 |
| 収入の変動要因 | 2年ごとの改定 | 市場・自分の努力次第 |
| 収入の上限 | 患者数×点数に制約 | 制約なし |
| 時間単価の改善 | 非常に困難 | 仕組み化で改善可能 |
2024年改定は+0.88%、2026年は+3.09%。改定率は政治状況・財政状況で大きく変動します。仮に次回改定がマイナスになったら? 診療報酬以外の「収入の柱」を持たない医師は、常に政策リスクに晒されているのです。
診療報酬がどう変わっても揺るがない、「もう一つの収入の柱」を築く5つの戦略です。
改定に振り回されない経営体質を作る。コスト管理・集患・自費診療・DX化。「患者を増やす」だけでなく「利益率を上げる」発想へ。
診療報酬がどう改定されようと、資産形成の原則は変わりません。
資産形成の方程式
診療報酬は「収入」の一部に過ぎない。
支出の最適化・運用利回りの最大化・時間の活用は、自分でコントロールできる。
| 要素 | 診療報酬依存 | 自律型資産形成 |
|---|---|---|
| 収入 | 診療報酬のみ | 診療報酬+副業+投資収入 |
| 支出 | 無意識に消費 | 保険見直し・固定費最適化 |
| 運用 | 預貯金のみ | NISA・iDeCoで非課税運用 |
| リスク耐性 | 改定に振り回される | 改定に左右されない基盤 |
診療報酬改定は「リスク」であると同時に「気づきのチャンス」でもあります。改定のたびに不安になる自分に気づいたら、それは「収入の柱が一本しかない」というサイン。今回の改定を機に、2本目、3本目の柱を立てましょう。
診療報酬改定+3.09%のニュースを見た時の率直な感想は、「やっとですか…てか遅くない?」でした。物価がこれだけ上がっているのに、なぜ今まで上がらなかったのか。30年ぶりの大幅引き上げと言われても、失われた30年のツケを一気に取り戻せるわけがないんです。
改定後の現実はどうか。手取りは上がらず、物価上昇で生活費の割合は上がる一方です。食費、光熱費、子どもの教育費…全部上がっている。給与明細の数字は変わらないのに、銀行口座の残高の減り方が早くなっている。これが「+3.09%」の実態です。
さらに厳しいのは、病院が利益を追求する方向に舵を切っていること。「一人でも多くの患者さんを診るように」。質より量。医師としてはモヤモヤしますが、病院経営の苦しさもわかる。板挟みです。
資産運用を学ぶ中で、ある日自分の時間単価を計算してみました。年収を年間の総労働時間(当直・時間外込み)で割ってみたんです。結果は…「これ、思っていたほど良くない」。時間外も多い、当直もある。表面上の年収は高く見えても、時間あたりで考えると「そこまで良くない」のが医師の現実です。
この日を境に、少しずつ心の変化が生まれました。「診療報酬に依存しない収入源を持たなきゃ」と。
周りの医師の反応はどうか。コロナの時は補助金等がありました。でも今は違う。インフレ、人手不足、資材高騰…医療業界も他の業界と同じく厳しい。「営業時間を伸ばしたり、単価を増やす努力をしないと難しい」と感じている人が大半です。
開業医の先輩は「患者は増えているのに利益が減っている」とこぼしていました。スタッフの賃上げ、電気代の高騰、医療材料費の値上がり…。売上が伸びても、コストがそれ以上に伸びているのが今の医療経営の現実です。
診療報酬に文句を言っても、改定率は変わりません。変えられるのは自分自身の行動だけです。
だからこそ私は、NISAやiDeCoで「診療報酬に左右されない資産の柱」をコツコツ育てています。保険を見直して支出を削り、確定申告で取り戻せるものは取り戻す。派手なことは一つもやっていません。でも、この「地味な積み重ね」が、診療報酬がどう改定されても動じない経済的な基盤になると確信しています。