✓ 当直のつらさは人それぞれです。つらくなる時期も、無理のない回数も、人によって違います。私の場合は、30代後半ごろから当直がつらくなりました(一例です)。
✓ 選択肢は「転職」だけではありません。今の職場で当直を減らせないか相談する、バイトの当直を見直す、日中中心の定期非常勤や健診を組み合わせる、当直の条件を見直す転職などがあります。
✓ 収入は、当直手当が減る分だけでなく、時間あたりと、体力・時間の回復も含めて考えます。収入より健康を優先するという判断もあります。
「当直明けの疲れが抜けなくなってきた」「当直の回数を減らしたいけれど、何から考えればいいのか」。当直は医師の仕事の一部ですが、年齢や体力、家庭の状況によって、つらさの感じ方は変わっていきます。
本記事では、働き方改革で変わったこと・長時間労働の実態・今の職場で当直を減らす考え方・当直なしや少なめで働ける選択肢・年収の考え方・転職するときの確認事項を整理します。当直バイトの相場や「寝当直」の見分け方は、医師の当直バイト|寝当直の相場と見分け方にまとめています。
書き手は私、Dr. K(現役医師・内科+手技系・40代・臨床20年)です。私の経験は、あくまで一人の医師の一例として読んでください。
当直がきついと感じ始める時期や、無理なく続けられる回数は、人それぞれです。体力、睡眠、本務の忙しさ、家庭の状況によって変わります。そのため本記事では、「月に何回が普通」「何歳までが目安」といった一般論は示していません。今回の調査では、当直の回数についての公的な統計を見つけられなかったためです。
私の場合は、30代後半ごろから当直がつらくなり、今はバイトのための当直を不必要に受けない、激務の当直は体と相談して頻度を減らす、という形に落ち着いています。「収入<健康」という考えに、少しずつシフトしてきました(7章)。これは私の考えで、一例です。
当直がきついと感じたときの選択肢は、次のように整理できます。
令和6年(2024年)4月から、医師の時間外労働の上限規制が始まりました。当直を考えるうえで押さえておきたいのは、上限の水準、宿日直許可、当直明けの連続勤務の3つです。
| 水準 | 時間外・休日労働の上限 |
|---|---|
| A水準 | 原則として年960時間以下/月100時間未満(例外あり) |
| B・連携B・C水準 | 年1,860時間以下(都道府県知事の指定を受けた場合) |
出典:厚生労働省「医師の勤務実態把握マニュアル」(第13回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 参考資料1-3、令和3年8月4日)。
宿日直許可は、労働基準法施行規則第23条に基づく許可です。厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関するFAQ(2024年8月6日ver.)」によると、許可を受けた宿日直は、上限規制との関係で労働時間としてカウントされません。ただし、宿日直中に救急患者の診療など、通常の勤務と同じ態様の業務をした時間は労働時間として扱われ、本来の賃金の支払いが必要です。また、通達「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日 基発0701第8号)が示す許可の基準には、宿直の場合は夜間に十分な睡眠がとり得ることが含まれています。
つまり、同じ「当直」でも、宿日直許可があるかどうかで、労働時間の扱いが変わります。許可の基準や、副業・兼業先との労働時間の通算(医師の自己申告に基づく)については、当直バイトの記事の4章で詳しく解説しています。
同じマニュアルでは、当直明けの連続勤務は、宿日直許可を受けている場合を除き、前日の勤務開始から28時間までとされています。これは、B・連携B・C水準の医師に対する追加的健康確保措置です。A水準では努力義務とされており、水準によって、義務か努力義務かが違います。
ご自身の勤務先がどの水準なのか、当直に宿日直許可があるのかによって、上限や連続勤務の扱いは変わります。気になる方は、勤務先の担当部署に確かめてみてください。
医師の働き方は、実際にどう変わってきたのでしょうか。厚生労働省の検討会資料「医師の勤務実態について」(令和5年10月12日)から、病院の常勤勤務医についての調査結果を紹介します。R4調査(令和4年実施)の対象は11,466人で、H28調査・R1調査と同等の規模です。
| 指標 | H28調査 | R1調査 | R4調査 |
|---|---|---|---|
| 時間外・休日労働が年1,920時間換算を超える医師の割合 | 9.7% | 8.5% | 3.6% |
| 週の労働時間が60時間以上の医師の割合(=時間外・休日労働 年960時間換算)※ | 39.2% | 37.8% | 21.2% |
出典:厚生労働省「医師の勤務実態について」(第18回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料2、令和5年10月12日)。※週60時間以上の割合は、資料のグラフに示された区分ごとの値から当サイトで合計したものです(資料の本文に書かれた数字ではありません)。
年1,920時間換算を超える医師の割合は、9.7%から3.6%へ下がっています。資料の上では、長時間働く医師の割合は下がっています。
ただし、数字を読むときには注意点があります。この調査の労働時間には、兼業先の労働時間が含まれます。また、宿日直の待機時間は労働時間に含めていますが、R1調査・R4調査では、宿日直許可のある医療機関の宿日直中の待機時間は除いています。オンコールの待機時間も除いています。調査ごとの数え方の違いもあるため、比較は目安として見てください。
同じ資料では、R4調査で、時間外・休日労働が年1,860時間換算を超える医師の割合が高い診療科として、次の科が挙げられています。
| 診療科 | 年1,860時間換算を超える医師の割合(R4) |
|---|---|
| 脳神経外科 | 9.9% |
| 外科 | 7.1% |
| 形成外科 | 6.8% |
| 産婦人科 | 5.9% |
| 救急科 | 5.1% |
出典:同上。資料の本文に書かれた数字です。
なお、この数字は労働時間全体についての調査で、当直の回数そのものを示したものではありません。当直の回数についての公的な統計は、今回の調査では見つけられなかったため、「月に何回が普通」といった目安は示していません。
当直がきついと感じたとき、すぐに転職を考える必要はありません。まずは、今の働き方の中で減らせるところがないかを考えてみます。私が実際にしていることと、一般的な考え方を分けて紹介します。
本務の当直は自分だけでは決めにくい一方で、バイトの当直は、自分で受けるかどうかを決められます。私の場合は、ここを見直すことから始めました。
次のような方法も考えられます。職場によって事情は違うので、できるかどうかは勤務先次第です。
今の職場だけで調整するのが難しいときは、働き方そのものを組み合わせ直す方法もあります。ここでは、当直なし、または当直の少ない働き方の例を紹介します。なお、「当直なしの求人が何割あるか」といった数字は、出典を確認できていないため示していません。
| 選択肢 | 特徴 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 定期非常勤(日中の外来など) | 決まった曜日に、同じ医療機関で働く。曜日や終了時刻を選んで探せる | 医師の定期非常勤の探し方 |
| 健診のバイト | 施設・巡回・企業などの健診。勤務時間や受診者の数は日によって幅がある | 医師の健診バイトとは |
| 外来中心の勤務 | 外来を中心とした働き方。当直・オンコールの有無は求人ごとに確かめる | 医師バイトの種類と探し方 |
| 当直の条件を見直す転職 | 当直の回数・宿日直許可の有無・オンコールを確かめて職場を選ぶ | 医師転職エージェントの選び方/医師の転職はいつから動く? |
※表の並びは、本記事で紹介する順です。おすすめの順位ではありません。
定期非常勤は、決まった曜日に同じ医療機関で働く働き方です。私自身も内科診察の定期非常勤を経験してきました。選ぶときは曜日と通勤時間、そして終了時間が早めであることを重視しています。ただし、定期非常勤にも当直の求人はあるので、日中の勤務かどうかは求人ごとに確かめてください。探し方と続けるコツは医師の定期非常勤の探し方にまとめています。
健診のバイトは、私の経験では、勤務時間が8時〜20時までとさまざまでした。勤務時間や受診者の数は求人によって幅があるので、応募の前に確かめておきます。仕事内容は医師の健診バイトとはで解説しています。
当直の条件そのものを変えたい場合は、転職も選択肢の一つです。転職エージェントの仕組みや、「当直なし・QOL重視」という目的からの選び方は医師転職エージェントの選び方の1章で、転職・退局の時期や手順は医師の転職はいつから動く?で解説しています。いきなり常勤を変えるのが不安なら、非常勤やスポットで職場の様子を確かめる方法もあります。
転職するかどうかは、急いで決める必要はありません。どの選択肢が合うかは、体力、家庭、キャリアの考え方によって違います。
株式会社メディカル・コンシェルジュが運営する、医師の人材紹介サービスです。常勤・非常勤(定期的な週1日勤務など)・スポット(健診、半日、日直など)を扱い、求人ごとに担当者が表示されます。検索のこだわり条件には「宿日直許可あり」があります。医師からの手数料はかかりません(2026年10月11日、公式サイトで確認)。公式サイトでは、面接の設定や同行、条件交渉も行うと案内しています。
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当直を減らすと、当直手当やバイト代が減るぶん、年収は下がる方向に動きます。どのくらい下がるかは、当直手当の額や回数、働き方によって大きく違うため、本記事では数字を示していません。ここでは、比べ方の考え方を紹介します。
参考として、紹介会社エムステージが公開している当直バイトの金額(1回あたり)は、次のとおりです。
| 種類 | 1回あたりの目安 |
|---|---|
| 寝当直(救急対応なし) | 3万〜4万円 |
| 救急当直(救急対応あり) | 6万〜8万円 |
| 日当直(日勤から当直まで) | 10万〜20万円 |
出典:エムステージ「医師の『当直バイト』給与相場と仕事内容」(Dr.転職なび/Dr.アルなび 運営、更新日 2026年7月1日)。1社が自社サイトで公開している目安で、算出方法や対象件数は記事中に示されていません。もう1社の数字は当直バイトの記事の1章にあります。
私自身は、当直を受ける目安を5万〜7万円くらいに置いています。年齢が上がるとともに、このハードルも上がりました(一例です)。時間単価の計算のしかたや、私の「この金額なら受ける」という判断ラインは、医師バイトの時給相場の5章と6章で詳しく紹介しています。
ここからは、私自身の経験をお話しします。あくまで一人の医師の一例として読んでください。
私は内科+手技系の医師で、40代、臨床20年です。
20代で独身だった頃は、当直に月に何回でも行けました。それが変わってきたのは、30代後半ごろからです。人それぞれだと思いますが、私の場合は、このころから体力が落ち、睡眠が浅くなりました。一度起きると、また眠れないのです。当直がつらいと感じるようになったのも、この時期でした。
当直では、こんなこともありました。寝当直のはずで行ったところ、その日は救急の当番日で、寝ることができなかったのです。「どうりで振られた当直だ」と、そこで理解しました。先輩から後輩へ回ってくる当直には、こういうことがあります。
そして40代半ばの今は、家でのリカバリーが必須です。当直は、無理のない範囲でするようにしたいと考えています。
今は、バイトのための当直は、不必要には受けません。体を優先し、激務の当直は、体と相談して頻度を減らしています。当直を受けるかどうかの目安も、今は5万〜7万円くらいです。年齢が上がるにつれて、そのハードルも上がりました。
「収入<健康」。私は、そういう考えにシフトしてきました。
株式会社メディカル・コンシェルジュが運営する、医師の人材紹介サービスです。常勤・非常勤(定期的な週1日勤務など)・スポット(健診、半日、日直など)を扱い、求人ごとに担当者が表示されます。検索のこだわり条件には「宿日直許可あり」があります。医師からの手数料はかかりません(2026年10月11日、公式サイトで確認)。サイトでは、地域・勤務形態・曜日などで求人を検索できます。
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当直を減らすために転職する場合、求人の「当直なし」「当直少なめ」という言葉だけで決めないことが大切です。入職してから「思っていたのと違った」とならないように、次の点を確かめます。
そして、確かめた条件は、口頭ではなく書面で残しておきます。労働基準法第15条により、使用者は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければなりません。明示すべき事項を定めた労働基準法施行規則第5条には、始業と終業の時刻や、所定労働時間を超える労働の有無なども含まれます。詳しくは定期非常勤の記事の4章で解説しています。
面談・見学で確認する項目は、医師転職エージェントの選び方の6章のリストも使えます。
何歳まで、という決まった目安は、本記事では公的な出典を確認できていないため示していません。当直がつらくなる時期は人それぞれです。私の場合は30代後半ごろからつらくなり、40代半ばの今は、無理のない範囲で当直するようにしたいと考えています(一例です。7章)。
今の職場で当直を減らせないか相談する方法のほか、日中の外来を中心とした定期非常勤、健診のバイト、外来中心の勤務、当直の条件を見直す転職などがあります。「当直なしの求人が何割あるか」といった数字は、本記事では示していません(4章・5章)。
下がる額は、当直手当の額や回数、働き方によって大きく違うため、本記事では数字を示していません。紹介会社エムステージ(2026年7月1日更新)によると、当直バイトは1回あたり寝当直3万〜4万円、救急当直6万〜8万円、日当直10万〜20万円です。減る収入だけでなく、拘束時間や体力の回復も含めて、時間あたりで比べることをおすすめします(6章)。
厚生労働省の宿日直許可に関するFAQ(2024年8月6日ver.)によると、許可を受けた宿日直は、時間外労働の上限規制との関係で労働時間としてカウントされません。ただし、宿日直中に通常の勤務と同じ態様の業務をした時間は労働時間として扱われます。詳しくは当直バイトの記事の4章で解説しています(2章)。
厚生労働省の「医師の勤務実態把握マニュアル」では、当直明けの連続勤務は、宿日直許可を受けている場合を除き、前日の勤務開始から28時間までとされています。これはB・連携B・C水準の追加的健康確保措置で、A水準では努力義務です。水準によって、義務か努力義務かが違います(2章)。
当直を減らすことは、収入を減らすことでもあります。収入と健康のどちらを優先するかは人それぞれですが、健康を優先するという判断もあります。ご自身の体と相談しながら、無理のない働き方を選んでください。当直バイトの相場や見分け方は、医師の当直バイトで詳しく解説しています。
株式会社メディカル・コンシェルジュが運営する、医師の人材紹介サービスです。常勤・非常勤(定期的な週1日勤務など)・スポット(健診、半日、日直など)を扱い、求人ごとに担当者が表示されます。検索のこだわり条件には「宿日直許可あり」があります。医師からの手数料はかかりません(2026年10月11日、公式サイトで確認)。当直の回数や宿日直許可の有無など、確認したい条件を担当者に問い合わせるのも一つの方法です。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の求人サービスや医療機関、働き方を推奨するものではありません。制度や統計の記載は、本文に示した各資料の時点の内容です。ご自身の勤務先の水準や宿日直許可の有無は、勤務先にご確認ください。体調や健康上の判断は、ご自身の主治医にご相談ください。Dr. K の体験は一例です。