📰 Dr. K's MORNING BRIEF
2026年9月25日(金)

3年ぶりと、30年ぶり。
同じ「ぶり」でも、重さが違う。

現役医師 Dr. K が厳選した、健康・医療・金融の今朝のヘッドライン。

おはようございます。金曜日の朝のレポートをお届けします。

今日の隠れたテーマは 「その『◯年ぶり』は、思い出せるか」。今日は「◯年ぶり」という言葉が、医療にもお金にも並んで出てきました。都内でインフルエンザの注意報が9月中に出るのは3年ぶり。長期金利は一時3.075%で30年1か月ぶり。同じ「ぶり」でも、3年なら多くの人が覚えていて、30年なら誰も覚えていません。今日の主題は脳梗塞の試験です。「発症4.5時間以内なら血栓を溶かす」という長年の経験を、その外側(4.5〜24時間)に延ばして確かめたら、30%対30%で、きれいに何も変わりませんでした。健康・研究・お金の3ジャンルで整理します。

🩺 健康・医療ニュース

1.【3年ぶり】都内のインフル注意報、9月中は3年ぶり — 数字より先に、学校が動いている

NHKは9月24日、都内でインフルエンザの注意報が9月中に出るのは3年ぶりで、小学校を中心に学級閉鎖が相次いでいると報じました。

項目内容
都内で9月中に注意報3年ぶり(NHK 9/24)
東京都の注意報発表9月17日(第37週・定点9.53人、注意報レベル地域の人口が都全体の47.87%)
都内の定点医療機関419か所(2026年9月現在)
集団感染(今シーズン累計)225件
学校の状況小学校を中心に学級閉鎖が相次ぐ

2.【今日14時】第38週が出る — ただし「連休の影響」は2日分しか入っていません

今日9月25日(金)の14時、厚生労働省から第38週の全国集計が公表されます。ただし9/24号で「連休の影響が最初に見える回」とお伝えした点は、もう少し正確に書く必要があります。

週対象期間5連休(9/19〜23)との重なり
第38週(今日公表)9月14日〜9月20日9/19(土)・9/20(日)の2日だけ
第39週(10月2日公表)9月21日〜9月27日9/21〜23の平日3日がここに入る

第37週(前回)の数字 — 今日はここと比べます:

感染症第36週第37週
インフルエンザ3.295.54(報告数20,697人・前週比+68.3%)
新型コロナ1.712.37

📚 注目論文・エビデンス

1.【今日の主題】「4.5時間」の外側で確かめたら、30%対30%だった — ATTENTION LATE

発症から4.5〜24時間経った脳底動脈閉塞の患者に、血栓回収療法の前にテネクテプラーゼ(血栓を溶かす薬)を上乗せしても、90日後の成績は変わりませんでした。JAMAに9月23日オンライン掲載。

項目内容
試験名ATTENTION LATE(NCT05701956)
デザイン多施設・無作為化・非盲検/評価者盲検
実施施設中国の脳卒中センター 40施設
登録期間2023年3月16日〜2025年2月4日
対象中等症〜重症の脳底動脈閉塞(NIHSS 10以上=脳卒中の重症度スケールで中等症以上)、発症4.5〜24時間で血栓回収可能施設に直接来院
症例数330例(332例を無作為化、2例が同意撤回)
背景平均年齢 66歳(SD 11)、男性 241例(73%)

介入と結果:

テネクテプラーゼ+血栓回収血栓回収のみ
例数166例164例
投与0.25 mg/kg 静注(最大25 mg)—
90日の機能的自立
(mRS 0-2=介助なしで日常生活が送れる状態)
50/165(30%)50/164(30%)
調整率比0.92(95%CI 0.67〜1.25)—
リスク差−0.18%(95%CI −10.13〜9.76)—
症候性頭蓋内出血8例(5%)6例(4%)
90日死亡66例(40%)70例(43%)

2. 同じ薬でも、「いまの標準治療」が変われば成績が変わる — CARDIO-TTRansform

ATTR型心アミロイドーシスに対するエプロンテルセンは、試験全体では主要評価項目を減らしませんでした。ただし事前に決めてあった解析で、すでにTTR安定化薬を飲んでいたかどうかで結果が分かれました。

項目内容
試験名CARDIO-TTRansform(NCT04136171)
対象ATTR型心アミロイドーシス 1,432例(男性1,297例=90.6%/女性135例=9.4%)
介入エプロンテルセン 45 mg を4週ごと vs プラセボ、最長140週
主要評価項目心血管死+再発性心血管イベントの複合
全体の結果主要評価項目を減らさなかった
ベースラインで安定化薬を使用57%

事前規定の解析(交互作用 P = 0.017):

ベースラインのTTR安定化薬率比(95%CI)P値
使っていない0.71(0.54〜0.93)0.012
使っている1.14(0.85〜1.53)0.39

💰 金融・税制ニュース

1.【30年1か月ぶり】長期金利が一時3.075% — 1996年以来の水準

9月24日、新発10年物国債利回り(長期金利)が一時3.075%まで上昇しました。1996年8月以来、30年1か月ぶりの高水準です。

項目内容
長期金利(新発10年債利回り)一時 3.075%
水準1996年8月以来・30年1か月ぶり
前週終値からの上昇+0.100%
きっかけ9月23日の米PMI(購買担当者景気指数)が市場予想を上回った → FRB(米国の中央銀行にあたる)の追加利上げ観測が強まり、米長期金利が上昇 → 日本に波及
10月のFOMC(米国の金融政策を決める会合)での
0.25%利上げの織り込み
約5割 → 約7割へ上昇

2. 9月24日の市場 — 日経は4日続伸、TOPIXは下落、円は158円台後半

東京市場は日経平均が4日続伸する一方、TOPIXは下落しました。前夜のニューヨークもダウは3日続落、ナスダックは小幅反発で、方向がそろっていません。

東京(9月24日終値):

指標終値前日比
日経平均65,513.99円+495.04円(4日続伸)
TOPIX4,075.30−15.84(−0.39%)

ニューヨーク(9月24日終値):

指標終値前日比
NYダウ51,349.98ドル−161.61ドル(3日続落)
ナスダック総合26,939.38+3.34(小幅反発)

為替(9月24日):158円60銭まで弱含んだのち159円04銭まで上昇し、158円90銭で引けました。

Dr. K のひと言(金曜・"ぶり"の話)

今日は「◯年ぶり」という言葉が、いくつも並びました。都内でインフルエンザの注意報が9月中に出るのは3年ぶり。長期金利の3.075%は30年1か月ぶり。

同じ「ぶり」ですが、重さがまるで違います。

3年ぶりは、思い出せます。おととしの秋に何が起きたかを覚えている人は、たくさんいます。だから対応できます。学校がすぐ学級閉鎖を判断できるのも、手順が記憶の中にまだ残っているからです。

30年ぶりは、思い出せません。1996年に金利3%の世界で働いていた人は、いまの現役のごく一部です。研修医はもちろん、私くらいの世代でも、この金利は「初めて見る数字」です。思い出せない「ぶり」は、ほとんど「初めて」と同じだと思っています。

今日の主題は、まさにそこの話でした。「発症4.5時間以内なら血栓を溶かす」——これは長く積み上げてきた経験です。では、その外側の4.5〜24時間ではどうか。期待はありました。理屈も立ちます。でも確かめてみたら、90日後に自立できた人は30%対30%。リスク差はマイナス0.18%。きれいに、何も変わりませんでした。

経験の内側では、経験が使えます。外側では、確かめるしかありません。そして確かめた結果が「変わらなかった」でも、それはちゃんとした答えです。足さなくていい、と根拠を持って言えるようになったのですから。

もう1本の論文も、時代の話でした。安定化薬が標準になる前なら、違う成績が出ていたかもしれません。同じ薬を、いつ評価するか。それだけで答えが動きます。

最後にひとつ、偶然の話を。2026年度の診療報酬は、本体が+3.09%。1996年度の3.4%以来、30年ぶりの改定率です。そして昨日の長期金利は3.075%で、こちらも1996年以来。医療の値段も、お金の値段も、同じ年を参照している——数字まで似ているのは、さすがに偶然ですが。

今日の14時には、第38週の数字が出ます。ただし連休と重なっているのは、土日の2日分だけです。慌てて結論を出さずに、来週以降を見てください。

金曜日です。今週もお疲れさまでした。よい週末を🩺💰

📌 免責事項:本Morning Briefは情報提供を目的とした要約記事であり、医学的・投資的判断を行うものではありません。引用元の一次情報を必ずご確認ください。診療判断・投資判断は各専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。