📰 Dr. K's MORNING BRIEF
2026年10月1日(木)

成績表は、欄外まで読む。
体重は25%減った。途中でやめた人もいた。

現役医師 Dr. K が厳選した、健康・医療・金融の今朝のヘッドライン。

おはようございます。木曜日、10月最初の朝のレポートをお届けします。

今日の隠れたテーマは 「成績表は、欄外まで読む」。昨日で上期が終わり、今日から下期です。今朝8時50分には日銀短観——企業の成績表——が出ます。今日の主題は、80週で体重が平均25.0%減った肥満症の新薬です。見出しの数字は大きい。でも、同じ薬を2型糖尿病の人に使った試験では減り方は18.8%で、9 mg群では12%が副作用などで投与をやめています。平均点の横の欄外に、何が書いてあるか。健康・研究・お金の3ジャンルで整理します。

🩺 健康・医療ニュース

1.【今日から】高齢者のインフルエンザ定期接種が始まる自治体が多い — 八王子市は流行の早さで2週間前倒し

65歳以上などを対象にしたインフルエンザの定期接種は、多くの自治体で今日10月1日から始まります。一方、八王子市は「都内の流行が1か月以上早まっている」として、9月18日に前倒しで始めていました。

自治体インフルエンザ新型コロナ
町田市10月1日〜2027年1月31日/自己負担 2,500円10月1日〜2027年3月31日/自己負担 7,500円
八王子市9月18日(10月1日から約2週間前倒し)〜2027年1月31日/自己負担 2,500円—
項目内容
対象65歳以上(ほかに60〜64歳で一定の障害のある人)
助成回数各ワクチン期間内1回
八王子市が前倒しした理由「都内でインフルエンザの流行が1か月以上早まっていることを受け」(市の公表)
生活保護受給者など無料

2.【通知が出た】OTC類似薬の追加負担は2027年3月1日から — 原則、薬剤費の4分の1

9月30日、厚生労働省がOTC類似薬の「一部保険外療養」の施行通知を出しました。市販薬と成分が同じ処方薬を出すと、患者は通常の窓口負担とは別に、原則として薬剤費の4分の1を追加で支払う仕組みです。施行日は2027年3月1日と決まりました。

項目内容
施行日2027年3月1日
追加の負担通常の窓口負担とは別に、原則として薬剤費の4分の1
負担のイメージ30日分の抗アレルギー薬で約250円増える(日経メディカルの例示)
対象薬の例ロキソニンなど(NHK)
対象から外れる人の例18歳の年度末までの子ども、がん患者など(NHK)
判断の基準患者が追加負担の対象に当たるかを処方医が判断する際の基準を通知で整理(MEDIFAX)
疑義照会処方箋の記載漏れの時のみ(PHARMACY NEWSBREAK)

📚 注目論文・エビデンス

1.【今日の主題】体重は80週で平均25.0%減った — 3つの受容体に効く新薬レタトルチド(TRIUMPH-1)

GIP・GLP-1・グルカゴンの3つの受容体に作用する週1回注射薬「レタトルチド」の第3相試験で、糖尿病のない肥満の成人の体重が80週で最大25.0%減りました(プラセボは3.9%)。膝の痛みと睡眠時無呼吸も改善しました。NEJMに9月29日オンライン掲載。

項目内容
試験名TRIUMPH-1(NCT05929066)
デザイン無作為化・二重盲検・第3相、80週
対象糖尿病のない肥満の成人
症例数2,339人
投与週1回皮下注射:レタトルチド 4 mg/9 mg/12 mg またはプラセボ
主要評価体重変化率(9 mg・12 mg 各群 vs プラセボ)、膝OA患者の疼痛、OSA患者の無呼吸低呼吸指数
資金Eli Lilly(開発企業)

体重の変化(80週):

プラセボ4 mg9 mg12 mg
体重変化率−3.9%−17.6%−23.7%−25.0%
プラセボとの差——−19.8ポイント−21.0ポイント

合併症の改善(ITT推定):

対象プラセボ4 mg9 mg12 mg差(9 mg/12 mg)
変形性膝関節症 574人:疼痛スコア(1〜10)−2.5−3.4−3.9−4.1−1.4/−1.6
睡眠時無呼吸 243人:無呼吸低呼吸指数(回/時)−9.6−22.8−34.3−32.1−24.7/−22.5

いずれも P<0.001。最も多かった有害事象は消化器症状でした。

2. 同じ薬を2型糖尿病の人に使うと、減り方は18.8% — 9 mg群の12%は途中でやめている(TRIUMPH-2)

同じレタトルチドを「肥満+2型糖尿病」の成人に使った第3相試験が、同じ日にLancetに掲載されました。体重は最大18.8%減(プラセボ5.1%)。この試験の要旨には、途中で投与をやめた人の数が書かれています。

項目内容
試験名TRIUMPH-2(NCT05929079、終了済み)
デザイン無作為化・二重盲検・プラセボ対照・第3相、80週
実施施設8か国・92施設
対象BMI 27以上+2型糖尿病(HbA1c 6.5〜10.5%)
症例数1,152人(平均55.1歳、女性48%)
背景平均BMI 38.2、平均HbA1c 7.71%、肥満歴の中央値 21年、92%が経口血糖降下薬を使用
投与を最後まで続けた人965人(84%)
資金Eli Lilly(開発企業)

体重の変化(80週)と、欄外の数字:

プラセボ4 mg9 mg12 mg
体重変化率−5.1%−11.9%−16.8%−18.8%
プラセボとの差(95%CI)—−6.9(−8.7〜−5.1)−11.8(−13.7〜−9.8)−13.8(−15.8〜−11.8)
下痢13%27%34%34%
悪心8%14%21%28%
低血圧<1%1%5%6%
感覚異常1%4%6%7%
有害事象・死亡による投与の永続的中止5%4%12%8%

死亡は4 mg群2人、9 mg群3人、12 mg群1人、プラセボ群1人で、いずれも研究者は試験薬と関係なしと判断しています。

💰 金融・税制ニュース

1. 上期の最終日に1,272円高 — 配当落ちの翌日に取り戻し、9月は月間で441円高

9月30日(水)の日経平均は1,272円45銭高と大きく反発し、上期を終えました。前日(9/29)は配当落ちの日で396円35銭安でしたが、翌日にそれを大きく上回って取り戻しています。

指標終値前日比
日経平均66,753.72円+1,272.45円(+1.94%)、3営業日ぶり反発
TOPIX4,108.65+67.52(+1.67%)
JPXプライム1501,726.87+30.28(+1.78%)
項目内容
東証プライム値上がり 1,127(約7割)/値下がり 368/横ばい 55
売買代金約 9兆1,212億円
9月の月間+441円(+0.66%)、2か月連続の上昇(8月31日終値 66,311.93円から)
7〜9月期6月末比 −4.7%、6四半期ぶりの下落

前号の答え合わせ(配当落ち):

日付日経平均前日比
9/28(月)65,877.62円—
9/29(火・配当落ち日)65,481.27円−396.35円
9/30(水)66,753.72円+1,272.45円
9/28→9/30—+876.10円

2.【前号のお約束】9/29のNY終値が確定 — 昨夜は物価が予想を下回ったのに、米長期金利は5.30%へ

9/30号で「まだ2社で確認できていない」とした9月29日のニューヨークの終値が確定しました。ダウは131.59ドル安でした。昨夜(9/30)はダウが443.87ドル安の3日続落、ナスダックは反発。米8月のPCE物価指数は予想を下回りましたが、米長期金利は5.30%まで上がっています(日本経済新聞)。

ニューヨーク(確定値):

日付NYダウ前日比ナスダック総合前日比
9/29(月)51,349.92ドル−131.59ドル26,797.54−22.84
9/30(火)50,906.05ドル−443.87ドル(−0.86%)、3日続落26,861.06+63.52(3営業日ぶり反発)

米8月 PCE物価指数(9/30発表):

項目結果予想
コア 前月比+0.2%+0.3%(予想を下回る)
コア 前年比+3.0%—
総合 前年比+3.4%—

※今回は国民経済計算の年次改定と重なり、前回分の数字も書き換わっています(コア前年比の前回値は3.3%から3.0%に改定)。予想値も媒体によって違うため、前年比の予想は載せていません。

今朝と明日:

日時予定
10/1(木)8:50日銀短観(9月調査) — 民間予想は大企業製造業の業況判断DIが+25〜+26(6月調査+22)、大企業非製造業は+37で横ばい
10/1(木)米・ISM製造業景況指数
10/2(金)米・9月雇用統計、日・8月失業率、🩺 インフル第39週の公表
Dr. K のひと言(木曜・"欄外"の話)

昨日で上期が終わりました。今日は、成績表がいくつも届く日です。

今朝の主役は、肥満症の新薬でした。80週で体重が平均25.0%減った。見出しとしては、これ以上ない数字です。

でも成績表には、欄外があります。

同じ薬を糖尿病のある人に使うと、減り方は18.8%でした。そして9 mgのグループでは12%——8人に1人——が、副作用などで薬をやめています。悪心は用量とともに増えて、12 mgで28%。「平均で何%減った」という欄には、途中でやめた人の事情は書かれていません。

もう一つ、細かいことを書いておきます。NEJMの要旨の中に、符号の抜けた数字が1つありました。前後の数字から誤記だと分かるので、今日はもう一方の数字を使っています。一流誌の要旨でも、欄外まで読むと気づくことがある。先週、PDFの1ページ目を読み落とした私が言うのも何ですが。

お金の成績表も同じでした。日経平均は7〜9月に4.7%下げました。でも、値上がりした銘柄は6割あったそうです。平均が下がっても、中身の多くは上がっていた。昨夜のアメリカでは、物価の前回の点数が、あとから書き換わりました。

今朝の日銀短観も、見出しは「DIが何ポイント」です。でもDIは、「良い」から「悪い」を引いた数字で、「さほど良くない」と答えた企業は出てきません。

点数を見たら、次は欄外を見る。誰が途中でやめたか。どこで区切ったか。前回の点数は書き換わっていないか。

今日から高齢者のインフルエンザ定期接種が始まる自治体が多く、OTC類似薬の追加負担は2027年3月1日からと決まりました。下期の初日です。成績表を受け取ったら、欄外まで。木曜日、今日も良い一日を🩺💰

📌 免責事項:本Morning Briefは情報提供を目的とした要約記事であり、医学的・投資的判断を行うものではありません。引用元の一次情報を必ずご確認ください。診療判断・投資判断は各専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。