現役医師 Dr. K が厳選した、健康・医療・金融の今朝のヘッドライン。
おはようございます。月曜日の朝のレポートをお届けします。
今日の隠れたテーマは 「時間がたって、見えてくること」。今日の主題は、30〜45歳で心臓の血管に石灰化(動脈硬化のしるし)が多く見つかった人が、その後の約30年でどうなったかを追った研究です。同年代の上位10%を超えるほど石灰化が多い人は、石灰化がない人に比べ、心臓病で亡くなるリスクが約3.7倍でした。メラノーマの個別化ワクチンも、最初の半年は差がなく、半年を過ぎてから効果がはっきりしました。インフルエンザは祝日を含む週に下がりましたが、1週だけで流れは判断できません。健康・研究・お金の3ジャンルで整理します。
10月23日に公表された第42週(10/12〜10/18)のインフルエンザの全国の定点当たり報告数は9.08で、第41週の12.81から下がりました。それでも昨年の同じ時期(3.26)の約2.8倍です。ただ、この週は10月12日(月・スポーツの日)を含みます。連休を含んだ第39週も一度下がり、翌週に戻っていました。新型コロナは0.89で、昨年の同じ時期(2.57)の約3分の1です。
| 定点当たり報告数 | 第39週(連休) | 第40週 | 第41週 | 第42週(祝日あり) |
|---|---|---|---|---|
| インフルエンザ(全国) | 7.17 | 11.35 | 12.81 | 9.08 |
| 東京 | 9.51 | 15.87 | 15.88 | 9.16 |
| 神奈川 | 8.59 | 18.51 | 21.60 | 10.92 |
| 埼玉 | 14.17 | 19.66 | 20.99 | 15.39 |
| 千葉 | 9.76 | 18.72 | 19.55 | 12.20 |
| 北海道 | 4.52 | 9.21 | 16.21 | 12.32 |
| 沖縄 | 42.50 | 37.07 | 31.34 | 19.68 |
| 昨年同期(インフルエンザ・全国) | 1.04 | 1.56 | 2.36 | 3.26 |
| 新型コロナ(全国) | 1.25 | 1.51 | 1.44 | 0.89 |
| 昨年同期(新型コロナ・全国) | 5.87 | 4.82 | 3.72 | 2.57 |
10/23号でお伝えした「試験結果の流出疑い」の件で、メルクとモデルナが正式に詳しい結果を発表しました。手術で取り切った、再発リスクの高いメラノーマ(ステージIIB〜IV)の人に、患者さんごとの腫瘍の遺伝子変異に合わせて作るmRNAワクチン「インティスメラン」をキイトルーダ(ペムブロリズマブ)に上乗せした第3相試験(INTerpath-001)です。再発または死亡のリスクは、キイトルーダ単独に比べて42%低下しました。欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2026)で発表される結果で、NEJMへの掲載も決まっているとしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デザイン | 二重盲検・プラセボ対照の国際第3相試験(ワクチン:プラセボ=2:1) |
| 対象 | 手術で取り切ったステージIIB〜IVの皮膚のメラノーマ 1,137人 |
| 投与 | インティスメラン(3週ごと、最大9回)+キイトルーダ(約1年) vs プラセボ+キイトルーダ |
| 主要評価 | 無再発生存(再発または死亡までの期間) |
| 追跡 | 中央値 24.6か月 |
結果:
| 評価 | ワクチン+キイトルーダ | キイトルーダ単独 | ハザード比(95%CI) |
|---|---|---|---|
| 2年無再発生存率 | 82.2% | 70.0% | 0.58(0.45〜0.75) |
| 2年遠隔転移のない生存率 | 88.5% | 80.2% | 0.62(0.45〜0.85) |
| 最初の6か月の再発または死亡 | — | — | 0.99(0.66〜1.49)、差なし |
| 6か月以降の再発または死亡(事前に決めた感度分析) | — | — | 0.42(0.30〜0.58) |
| 重い副作用(グレード3〜5) | 14.2% | 13.4% | — |
- 全生存(亡くなるまでの期間)は、まだ判断できる段階ではありません。多かった副作用は、発熱(52.2%)、注射部位の痛み(51.0%)、だるさ(38.5%)でした。
CTで心臓の血管(冠動脈)の石灰化を測る「冠動脈石灰化スコア(CACスコア)」は、動脈硬化の進み具合を表します。30〜45歳で検査を受けた米国の約1.3万人を、中央値22.6年追跡した研究です。同年代の人の中で上位10%を超えるほど石灰化が多い人は、石灰化がまったくない人に比べ、全死亡が1.87倍、心血管病による死亡が2.60倍、冠動脈の病気による死亡が3.71倍でした。JAMA Cardiologyに10月23日掲載。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デザイン | 後ろ向きコホート研究(米国の4施設のデータを集めたCAC Consortium) |
| 対象 | 医師の判断でCACスコアの検査を受けた30〜45歳の 12,847人(平均40.5歳、男性77.2%) |
| 比べ方 | 石灰化なし(72.1%) vs 同年代の上位10〜25%(12.7%) vs 上位10%超(13.3%) |
| 追跡 | 中央値 22.6年(死亡624人) |
結果(上位10%超 vs 石灰化なし、年齢・性別・従来の危険因子で調整):
| 死亡 | ハザード比(95%CI) | 30年間の推定死亡率(上位10%超 vs なし) |
|---|---|---|
| 全死亡 | 1.87(1.54〜2.27) | 12.9% vs 7.5% |
| 心血管病による死亡 | 2.60(1.77〜3.82) | 4.5% vs 1.5% |
| 冠動脈の病気による死亡 | 3.71(2.24〜6.16) | 3.0% vs 0.6% |
糖尿病・心不全・慢性腎臓病の治療に使われるSGLT2阻害薬で、ヘモグロビンやヘマトクリットが上がることが知られていました。その大きさを、二重盲検の無作為化試験85本・約7万人分をまとめて調べた研究です。ヘモグロビンは対照群に比べて0.60g/dL、ヘマトクリットは2.36%高くなっていました。造血を促すホルモン(エリスロポエチン)も増えていました。JAMAに10月24日掲載。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デザイン | 無作為化試験の系統的レビューとメタ解析(2026年7月22日まで) |
| 対象 | 85試験、70,543人(平均62.4歳、治療前のヘモグロビン13.6g/dL)。試験期間の中央値24週 |
| 比較 | SGLT2阻害薬 vs プラセボ(78試験)または他の薬(7試験) |
結果(対照群との差):
| 項目 | 差(95%CI) |
|---|---|
| ヘモグロビン | +0.60g/dL(0.55〜0.66) |
| ヘマトクリット | +2.36%(2.19〜2.52) |
| エリスロポエチン | +2.11mIU/mL(0.5〜3.71) |
| トランスフェリン飽和度 | −0.84%(−1.21〜−0.47) |
10月23日(金)の日経平均は214円68銭安の62,693円16銭で続落しました。朝方には1,400円を超えて下げ、取引時間中に約3か月ぶりに6万2,000円を割り込む場面もありましたが、午後にAI・半導体関連株が買い戻され、下げ幅を縮めました。
| 日付 | 日経平均 | 前日比 |
|---|---|---|
| 10/16(金) | 65,324.29円 | +898.34円 |
| 10/21(水) | 64,621.24円 | +545.82円 |
| 10/22(木) | 62,907.84円 | −1,713.40円 |
| 10/23(金) | 62,693.16円 | −214.68円 |
| 一日の安値(10/23) | 61,462.61円 | — |
- 週間では2,631円13銭の下げで、2週続けて大きく下げました(当サイトで計算)。
米国(10/23・金曜):ダウは652.82ドル安の52,215.16ドルで4日ぶりに大きく反落、ナスダックは53.52ポイント安の25,955.34でした。米国とイランをめぐる緊張で原油の先物(WTI)は3.80ドル高の103.27ドルまで上がり、インフレが続くことへの心配が強まりました。
- ⚠️ 数字の扱い:フィスコの記事は見出しが「653.52ドル安」となっていますが、本文は652.82ドル安で、株探の2本の記事と一致しています。本文の数字を使っています。
今週は、日米の金融政策と、AIへの投資を続ける巨大IT企業の決算が重なります。先週の相場を揺らした「AIへの投資は報われるのか」という問いに、決算が答えを出し始める週です。
| 日(日本時間) | 日本 | 海外 |
|---|---|---|
| 27日(火) | 9月の企業向けサービス価格指数、10月の月例経済報告 | FOMC 1日目、米10月の消費者信頼感指数 |
| 28日(水) | 権利付き最終日 | アルファベット・マイクロソフトの決算 |
| 29日(木) | 日銀会合 1日目 | 午前3時にFOMCの結果(3時30分に議長会見)、米7〜9月期GDP、米9月の個人消費支出、ECBの政策金利、アマゾン・イーライリリー・メルクの決算 |
| 30日(金) | 日銀の結果と植田総裁の会見、9月の失業率・有効求人倍率・鉱工業生産、🩺 インフル・コロナ第43週 | ユーロ圏7〜9月期GDP、アッヴィ・アストラゼネカの決算 |
30代、40代の患者さんは、10年先の心筋梗塞のリスクを計算すると、たいてい「低い」と出ます。今日の主題の研究では、若いうちに見つかった石灰化が、30年かけて約3.7倍の差になっていました。時間軸を延ばすと、同じ人の見え方が変わります。
メラノーマのワクチンも、最初の半年は差がなく、そこから効果がはっきりしました。半年で判断していたら、見逃していたかもしれません。インフルエンザは祝日のある週に下がりましたが、本当に峠を越えたかは、次の週を待たないと分かりません。
株式市場は、2週続けて大きく下げました。日々の値動きは心を揺らしますが、資産づくりの成果が見えてくるのは、何年、何十年という時間がたってからです。
すぐに答えが出ないことほど、「どのくらいの時間で見るべきものか」を先に決めておくことが、診療でも、お金でも、効いてきます。
新しい一週間の始まりです。今週もよろしくお願いします🩺💰